ここでは賞与の計算方法をご説明します。
基本的には毎月の給与計算と同じように、総支給額から社会保険料と所得税を控除して支給することになりますが、社会保険料の計算方法と所得税の計算方法が給与のときとは若干異なります。
@賞与から控除する社会保険(健康保険・厚生年金保険)料計算
毎月の給与の場合は、標準報酬月額に各保険料率を乗じて社会保険料額を計算しましたが、賞与の場合も「標準賞与額」というものをまず算出して、そこに保険料率を乗じて社会保険料額を計算します。
では「標準賞与額」の求め方ですが、これはいたって単純です。
個人の賞与総支給額の1000円未満を切り捨てた額が「標準賞与額」となります。
ただ、一つ注意点としてこの「標準賞与額」には上限が設けられています。健康保険料を計算する上では、年間で540万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)が上限額となり、厚生年金保険料を計算する上では1回あたりの賞与額が150万円が限度額となります。
よって、例えば、夏期賞与として200万円の賞与が支払われた場合、健康保険料を計算する上では、そのまま200万円支給されたものとして計算しますが、厚生年金保険料を計算する上では、150万円支払われたものとして計算することになります。
「標準賞与額」が算出できたら、次は、この「標準賞与額」に以下のように各保険料率を乗じて、実際に賞与から控除する社会保険料を計算します。
(40歳未満または65歳以上の社会保険加入者の場合)
控除する健康保険料=「標準賞与額」×82/1000÷2
控除する厚生年金保険料=「標準賞与額」×146.42/1000÷2
(40歳以上65歳未満の社会保険加入者の場合)
控除する健康保険料(介護保険料含む)=「標準賞与額」×94.3/1000÷2
除する厚生年金保険料=「標準賞与額」×146.42/1000÷2
※保険料額に円未満の端数が出たときには、端数が50銭以下の場合は切り捨てし、51銭以上の場合は切り上げして1円として下さい。
A賞与から控除する雇用保険料の計算
賞与から控除する雇用保険料の計算は、毎月の給与計算の場合と同じです。
よって、以下の計算式により算出します。
賞与総支給額×雇用保険料率(被保険者負担分)
雇用保険料率は以下のようになっていますので、以下の被保険者負担率を乗じて賞与から控除する雇用保険料を算出することになります。
事業の種類 |
保険料率 |
事業主負担率 |
被保険者負担率 |
一般の事業 |
15/1000 |
9/1000 |
6/1000 |
農林水産、
清酒製造の事業 |
17/1000 |
10/1000 |
7/1000 |
建設の事業 |
18/1000 |
11/1000 |
7/1000 |
円未満の端数については、被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨てし、50銭1厘以上の場合は切り上げして1円とします。
B賞与から控除する所得税の計算
次に、賞与から控除する所得税の計算ですが、所得税に関しては、毎月の給与計算で行う方法と少し異なるので注意が必要です。
まず、毎月の給与計算と同じように、扶養人数を確認します(参照:給与計算時の所得税の計算方法)。
扶養人数が確認できたら、次に前月給与の「社会保険料等控除後の給与等の金額」を確認します(社会保険料等控除後の給与等の金額とは、課税対象額から健康保険、厚生年金、雇用保険の各保険料を控除した金額です。参照:給与計算時の所得税の計算方法)。ここで注意しなければならないのは、「前月分給与」を確認するということです。賞与の所得税を求めるのですが、ここで使用するのは「前月分給与」です。
扶養人数と前月給与の社会保険料等控除後の給与等の金額が確認できたら、いよいよ所得税の税率を求めます。
まずは、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(税額表の冊子をお持ちの方は、冊子の最後のほうに記載してあります)をご覧下さい。
給与計算で使用した税額表と同じように上段に「扶養親族等の数」という欄があると思いますので先ほど確認した扶養人数を当てはめます。例えば扶養人数が2人であれば、2人の列のみを見て、下のほうに降りて行って下さい。
「以上」「未満」で分けられた欄があると思いますので、ここで先ほど確認した、前月給与の「社会保険料等控除後の給与等の金額」をここに当てはめます。該当する箇所があったら次に、そのまま一番左の列(「賞与の金額に乗ずべき率」)を見て、そこの数字を確認します。
例えば、扶養人数が2人で前月給与の「社会保険料等控除後の給与等の金額」が309540円だとしたら、269千円以上312千円未満の欄に該当するので、その欄の一番左を見ると「4」という数字があると思います。よって、この方の所得税の税率は4%ということになります。
同様の方法で、全員分の税率を確認します。
税率まで確認できたら、社会保険料控除後の賞与の金額を算出します。これは毎月の給与計算のときと同様の方法で結構です。
具体的には、賞与の総支給額から、@で算出した被保険者負担分の健康保険料(介護保険料含む)、厚生年金保険料の額及びAで算出した雇用保険料の額を控除した金額となります。
ここまで確認できたら、上記で算出した社会保険料等控除後の賞与の金額に税率を掛ければ賞与から控除する所得税の額が計算できます。
※1円未満の端数が出た場合は、切り捨ててください。